何が起きたか
ここ数週間、石油だけにとどまらず、エネルギー、農産物、金属にまたがる広範なコモディティの強気相場が加速して形成されつつある。ブルームバーグ・コモディティ指数(Bloomberg Commodity Index)はすでに2012年以来の最高水準まで上昇し、Quantix商品指数は過去最高値を更新した。
著名なマクロストラテジストのSimon White氏は水曜日に発表したレポートで、コモディティの急騰は企業の利益率を圧迫し、家計支出を弱めるリスクを密かにはらんでいると警告し、株式市場がこの全面的に広がるインフレ的な衝撃をあとどれだけ支えられるのか疑問を呈した。
8月初め以来、欧州の天然ガスやガソリンなどのエネルギー価格が上昇を続けており、ベースメタルや貴金属に加え、砂糖、ココア、トウモロコシといったソフトコモディティも軒並み上昇している。先物市場で取引される主要なコモディティのうち、値下がりしたのは生きた豚、生きた牛、ニッケル、オレンジジュースなどごく一部にとどまる。
なぜ重要か
エネルギー価格の衝撃は、製造業から食品生産に至るまで各業界の投入コストに影響を及ぼす。レポートは、イラン戦争によって石油精製能力が阻害され、ディーゼルやガソリンなどの製品価格が押し上げられ、輸送コストの上昇に拍車をかけていると指摘している。
レポートは、1970年代や2010年代初頭のようにコモディティ価格が高水準にあるときには株式市場はしばしば軟調となり、逆にコモディティ価格が歴史的な低水準にあるときには株式市場はしばしば最良の時期を迎える、と指摘する。株式市場とコモディティのリターンがそろって上昇している現在の状況は、おそらく一時的な異常現象にすぎない。
コモディティ価格が引き続き底堅さを保ち、しかも現在は高値維持を支える多くの好材料が存在する場合、株式市場は今後さらに大きな下落リスクに直面することになる。
主な事実
ブルームバーグ・コモディティ指数はすでに2012年以来の最高水準まで上昇している。
Quantix商品指数は過去最高値を更新した。
8月初め以来、欧州の天然ガスは34%上昇し、ガソリンは22%上昇した。
8月1日以来、先物市場で取引される主要なコモディティのうち、値下がりしたのは生きた豚、生きた牛、ニッケル、オレンジジュースなどごく一部にとどまる。
10年の年率換算リターンで見ると、コモディティの直近のリターンは、1970年代のコモディティ大相場以来、2008年に一度だけ上回ったことがあるだけという水準に達している。
今後の注目点
ロシア・ウクライナ戦争が、とりわけ黒海地域で激化していることに加え、今年と来年にかけての強いエルニーニョ現象に対する市場の懸念も相まって、ソフトコモディティの価格はさらなる上昇圧力に直面している。
ナスダック100指数(Nasdaq 100)とQuantix商品トータルリターン指数の比率の変化は、この夏のコモディティの再度の上昇を裏付けており、トレーダーが現実世界の希少性を織り込み直していることを反映している。
市場は、コモディティ価格が高値を維持できるかどうか、そして企業の利益率と家計支出が圧迫される度合いが今後さらに米国株のバリュエーションへと波及していくかどうかに注目することになる。
